ストレスチェックも健康診断もどちらも健康に関する義務ですが、大きな違いがあることを忘れてはいけません。両者の違いとは、なんでしょうか。

違いを把握しておくだけで、人事労務担当者はスムーズに運用できるようになります。それでは、ストレスチェックと健康診断の違いをみていきましょう。

ストレスチェックと健康診断の違い

ストレスチェックと健康診断は、「実施事務」と「結果の取り扱い方」が違います。

まず実施事務の違いから、ご紹介します。ストレスチェックは、企業に実施する義務がありますが、労働者に受診の義務はありません。一方、健康診断は、企業にも労働者にも義務があります。

次は、結果の取り扱い方法の違いです。ストレスチェックの結果は本人のみ通知され、事業者は本人の同意なく結果を見ることはできません。健康診断の結果は労働者本人宛にも配布されますが、事業者にもその結果が配布されます。

さらに、事業所に渡されたすべての労働者の診断結果は、鍵のかかる場所に保管され、医師や産業医が確認できるようになっています。

ストレスチェックと健康診断を同時に実施する場合

もし同時に実施するときは、注意するべきことがあります。ストレスチェックの調査用紙と健康診断の問診票は別々に用意すること。もし同じ用紙に記入する場合は、ストレスチェックの項目と健康診断の項目を分けて、記入後には用紙を切り離してください。

一見、健康診断の問診票とストレスチェックの質問票は似ているので、健康診断の問診票にストレスチェックの項目が加わったくらいの意識で捉える労働者が出てくる可能性もあります。これらは、1つずつが独立しています。

もし、同時に実施する場合は、労働者に、「2種類の異なる質問票に回答していて、目的や結果の取り扱い方法が明らかに違う」ということをわかってもらうことが必要です。

そして何より、労働者が自ら「ストレスチェックを受けよう」という気持ちになってもらえるような工夫が大切です。1人ひとりに意識を高く持ってもらうためにも、ストレスチェックの目的や個人情報の取り扱いについて、理解・協力してもらえるよう努めましょう。

労働安全衛生法改正により、2015年12月からストレスチェックが義務化されたことで、「健康診断・過重労働者の面接指導・ストレスチェック」がそれぞれ独立しました。

先ほどもお話したように取り扱い方法や目的が異なるので、その違いを理解した上で、「3つをどうやって実施するか・管理するか」を考えていきましょう。事業所内で、どのように実施するか話し合いを重ねたり、産業医との連携をしたりすることも、重要になります。

まとめ

ストレスチェック実施にあたり、重要なことは「ストレスチェックと健康診断を同時に実施するべきか」より「ストレスチェックと健康診断の結果をどう活かすか」です。ストレスチェックに関わるメンバーで、アフターケアも含めたフロー・目的などの情報共有をしっかりとしてから、実施しましょう。

この記事のポイント
  • 健康診断は労働者にも義務があるが、ストレスチェックは労働者に受ける義務はない
  • 健康診断は、企業にも労働者にも義務がある
  • ストレスチェックの結果は本人のみ通知され、事業者は本人の許可無く見ることができない

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(編集:創業手帳編集部 / 監修:合同会社パラゴン|櫻澤博文