インターネットでお手軽にアンケートなどに答えるシステムは多くあります。何かと面倒な印象のある「ストレスチェック」をオンラインサービスで実施する方法もあります。ストレスチェックの実施方法の実態と、オンラインで行う場合のメリットと見比べてみましょう。

ストレスチェックの実施は紙ベースで

ストレスチェックの実施方法は、質問票を使用したものとされています。紙ベースの質問票に自分で記入をしてもらうのですが、配布時に特に決まりや制限はありませんが、改修の際には、書き込んだ内容が周囲に見えないように封筒に入れて、さらに封印した上で回収するなど、個人情報保護への配慮が必要になっています。

オンラインを介した実施には満たすべき条件がある!

インターネットなどの電子媒体を介した実施ももちろん可能ですが、満たさなければいけない条件が出てきます。

  1. 個人情報の改ざん防止のための仕組みが整っていること。実施者によって個人の検査結果の保存が適切に行われること。
  2. ストレスチェックの結果を閲覧できる者に制限があること。実施者意外の閲覧はできないことがポイントになります。
  3. 実施者の役割がきちんと果たされること。ストレスチェックは事業者が指定した実施者以外で受けた場合には、ストレスチェックを受けたことにはなりません。

オンラインでストレスチェック!そのメリットは?

オンラインでストレスチェックするための条件は、先ほどまとめた通りになります。では実際に、オンラインでストレスチェックサービスを行った場合の特徴やメリットについて見ていきたいと思います。

  1. やっぱり楽!手間が省けるのはオンラインの魅力

紙ベースでの作業自体減って来ている中で、やはり感じるのは、「オンラインは楽チン!」ということです。オンラインでのストレスチェックサービスを提供している会社では、ストレスチェックの実施はもちろんのこと、実施者そして、事業者への集団的な分析レポートまでサポートしています。自分が利用する会社が、どこまでサポートをしてくれるのか、自社でまかなう部分と上手に組み合わせて使うことをおすすめします。

  1. 高ストレス者への面接勧奨もスムーズ

高ストレス者と判定された際に、社内では顔を知っているだけに伝えづらいなどというデメリットがあるのも事実です。事務的に、かつ的確にそしてケアもしっかり整った形で、高ストレス者への面接をしっかりとおすすめします。

  1. 価格がリーズナブル!

サービスはストレスチェックに必要な機能に絞ってあるためムダがないのが特徴です。  メンタルチェックの実施にかかる費用は、会社が負担することになっています。となれば、少しでもリーズナブルな方法をチョイスしたいものです。サービスやオプションの種類にもよりますが、ストレスチェックだけなら、紙ベースで行うよりもさらにリーズナブルに利用できるのもポイントです。

インターネットサービスを使う場合に必要なこと

インターネットを使ったストレスチェックを実施する際には、メールアカウントを持っていること、インターネット環境がセキュリティも含めてしっかりと整っている必要があります。そういったものが揃っていない際には、紙ベースのチェックで対応するといったケースが多いようです。

インターネットを使ったサービスの中には、ストレスチェックそのものには、まったくコストがかからない、つまり「無料」のものが存在しています。内容は厚生労働省が提示しているようなきわめてシンプルなストレスチェックにはなりますが、基本的にはこれでも十分な役割は果たしてくれます。

また、最近登場しているサービスの中には、集団分析そのものも無料で行うという業者ちらほらいるようです。すべてが無料であるのかというとそうではありません。無料のストレスチェックはあくまで、入り口にすぎません。自社のバックエンドサービスをきちんと準備した上での、設定でしょう。

ストレスチェックから集団分析までを行う業者の平均的な価格は、ストレスチェック1件あたり(1人あたり)1000円〜3000円程度になります。ここで注意しておきたいのは、業者を選ぶ際には、ストレスチェックだけのコスト、つまり、実施コストだけを参考することはおすすめしません。その後のサービス、不調者への対応なども含めて検討するようにしましょう。

早期発見が良いケースばかりではない!

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病気が深刻化する前に探してあげること、つまり早期発見は、悪化を未然に防げると思いがちですが、心の病気に関しては、早期発見が良いケールばかりではないようです。とてもデリケートで隠しておきたい問題であるにも関わらず、ストレスチェックにより問題が表面化することになります。もちろん、適切なケアがなされれば、早期発見に越したことはありません。しかし、対応に失敗してしまうと、混乱を招くことになりかねないのです。

もう一度思い出してみましょう。ストレスチェックが作られたのは、「ストレスが高い人にセルフケアを促し、働きやすい環境改善に努めよう」という理念にあるのです。定期健康診断のように、早期発見!治療につなげるという、シンプルな構造ではないのです。もちろん、早期発見ができるに越したことはないのですが、早期発見を期待しないようにしましょう。ここは理念をしっかりと見直すことが大切です。

ちなみに、厚生労働省の標準的なストレスチェックではじき出される高ストレス者の割合は10%程度と想定しています。この数字って、結構多いと感じませんか?休職に至るほどの不調者は1%程度と言われていますが、10人に含まれている本当の不調者の1人を見つけ出すというのは、かなり難しい作業に思われます。

ストレスチェックの可能性は集団分析にあり!

ストレスチェックの可能性は集団分析にこそあると考えられています。しかし、義務化されているのは、ストレスチェックを実施する企業側のみです。従業員側にはストレスチェックを受ける義務はないので、受検率のアップも課題のひとつです。

ストレスチェックのタイミングで、問題点の解決策について、具体的に考える必要があります。その際に注意すべきポイントは、

  1. 提示された改善案は現実的なものかどうか
  2. 具体的なアクションプランに移していくことが可能かどうか
  3. 効果測定は評価できるものかどうか

具体的対策がポイントです。

ストレスチェックの意義をどこに求めるのか

ストレスチェックでできることは何になるのでしょうか。ストレスチェックで早期発見というのは本来の目的ではありません。個人レベルでの気づきや発見も必要ですが、集団分析に力を入れることは意義のあることと思われます、ストレスというメンタル関係との関わりを見ながら、会社全体にアンケートを実施するという機会はなかなかありません。

とは言いつつも、現状としては組織分析に関しては義務化ではなく努力義務という位置づけです。そして、義務化は企業側にだけあるため、忙しい人、めんどくさいと感じる人は解答をしないという結果を生み出してしまいます。せっかくの機会に、組織分析のためのデータが中途半端にしか揃わないのは、もったいないものです。

メンタルは、従業員の満足度、モチベーションとも深い関わりを持っています。従業員のメンタル状態を、より良い状態にキープすることが企業の生産性の向上に繋がっていくのです。みなさんは、ストレスチェックの意義をどこに求めて実施していきますか?

(編集:創業手帳編集部 / 監修:合同会社パラゴン|櫻澤博文