先生（52）
わかりました、玲素子さん。詳しく解説しましょう！

ストレスチェックに過誤があった場合、実施者などが不法行為責任を負う可能性はあるけど、ただちに法的責任が発生するわけではないんだよ。
 

1.実施者等の責任とは？
例えばストレスチェックの結果の評価を間違えて、本当は高ストレス者なのに対象外としてしまった結果、精神疾患を発症するまで対策が立てられなかった場合、民法上は実施者が対象の労働者に対して不法行為責任を負う可能性はある。
でも、ストレスチェックはメンタルヘルスの不調を予防する目的であって、高ストレス者の検出や治療が目的ではないよね。
だから、ストレスチェックの実施と精神疾患の発症には因果関係が認められないと想定されるんだ。
法的責任については
ストレスチェック結果保存を怠った場合は誰の責任になる？
面接指導を勧奨しないと法的責任を負う？
ストレスチェックを受検しない労働者には法的責任を追わない？
就業上の措置をとらなかった場合、法的責任は発生する？
についても参照してね！

2.事業者の法的責任とは？
事業者についてはストレスチェックを社内で実施をしても、外部に委託しても、民法上使用者責任を負うことになる。
過去の健康診断の判例から、一般的と認められるストレスチェックを実施または委託していた場合は、事業者は法的責任を負わないと考えられる。

とはいえ、ストレスチェックが正しく行われないのであれば、予防としても効果がないよね。だから過誤のないストレスチェック実施に努めることが求められるんだよ。