ストレスチェック制度Q&A|就業上の措置が必要な労働者に退職勧奨できる?

須藤 玲素子(26)
先生!面接指導の結果、医師からは労働時間を短縮すべきとの意見が出ています。事業者は面接指導の結果を理由としてこの労働者に対して退職勧奨できるか教えてください!


先生(52)
わかりました、玲素子さん。詳しく解説しましょう!

医師が労働時間を短縮すべきと意見しているのに事業者が退職勧奨をするのは不利益な取り扱いとみなされるため、できないと考えられるよ。
 

1.事業者が義務付けられる「適切な就業上の措置」の範囲とは?
事業者は、労働安全衛生法第66条の10第6項により、面接指導を行なった医師の意見を考慮し、必要に応じて就業上の措置をとることが義務付けられているんだ。就業上の措置については就業上の措置にはどのようなものがある?を参照してね!
そして同法第66条の10第3項および指針において、事業者は当該労働者に対し、不利益な取り扱いをしてはいけないとされているんだ。その具体的な内容のひとつとして「面接指導結果に基づく措置に実施にあたり、面接指導を行なった医師の意見と内容や程度が著しく異なる等の不利益な取り扱いを行なうこと」が列挙されているんだ。不利益な取り扱いの詳細については事業者が行なってはいけない不利益な取り扱いとは?を参照してね!

2.医師から労働時間を短縮すべきといわれた場合、退職勧奨できる?
玲素子さんの質問では、医師からは「労働時間を短縮すべき」と言われたのに対して、事業者はその措置を取らずに退職を勧奨することを想定しているよね。退職勧奨は事業者が労働者に対して積極的に退職を求めることなので、医師の意見とは乖離しており、「不利益な取り扱い」にあたると言えるんだ。

必ずしも医師の意見と一致した就業上の措置をとることが義務付けられているわけではない。ただ、医師の意見と乖離していると「不利益な取り扱い」とみなされるから、医師の意見に従って就業上の措置をとることが大切なんだよ。