ストレスチェック制度Q&A|高ストレス者の評価方法や基準は変更できる?

須藤 玲素子(26)
先生!高ストレス者の評価方法や基準を厳しくしたり、緩くしたりできますか?その場合、事業者にはどのような責任が生じる可能性がありますか?教えてください!


先生(52)
わかりました、玲素子さん。詳しく解説しましょう!

高ストレス者の評価方法や基準を厳しくしたり、緩くしたりするのは自由にできるんだ。ただし、あまりに厳しくしすぎた場合は、事業者の安全配慮義務違反の一要素として不利益に判断される可能性があるんだよ。
 

1.基準を厳しくした場合の問題点とは?
基準を厳しくしたり、緩くしたりすることを禁止しているわけではないんだ。でも基準を厳しくしすぎると、本来検出されるはずの高ストレス者を見逃してしまう可能性があるよね。高ストレス者が何の措置もとられないまま精神疾患を発症した場合はストレスチェックを十分に実施していないとして、事業者が安全配慮義務違反に問われる可能性があるんだよ。
マニュアルでは高ストレス者を全体の10%に設定することを例示している。もともと5%をハイリスク者としてみなしていて、安全をみてその枠を10%に広げたという経緯があるんだ。
だから、メンタルヘルスチェックの実効性を保持するためにも、基準を厳しくするとしても全体の5%が高ストレス者となるような調整をするのが望ましいんだよ。
2.基準を緩くした場合の問題点とは?
一方で基準を緩くすると、高ストレス者が増えすぎて本来フォローアップするべき労働者の捕捉が困難になってしまう危険性もあるし、多数の高ストレス者から面接指導の申出があった場合に面接指導を行える体制がないと、事業者の責任問題となってしまう。

以上のことを考えると、導入時はマニュアル通りの基準で実施するのが無難だよね。運用してみて厚生労働省の前提よりもメンタルヘルス不調者が多かったり少なかったりした場合に基準をカスタマイズするのが望ましいね。