ストレスチェック制度Q&A|集団ごとの集計・分析結果を事業者に提供する場合に労働者の同意は必要?

須藤 玲素子(26)
先生!実施者が集団ごとの集計・分析結果を事業者に提供する場合に労働者の同意は必要ですか?教えてください!


先生(52)
わかりました、玲素子さん。詳しく解説しましょう!

集団ごとの集計・分析結果は個人を特定できないので労働者の同意を得ずに事業者に提供することができる。ただし、集団の単位が10人以下の場合は個人が特定される恐れがあるため、労働者の同意が必要となるんだよ。
 

1.ストレス結果を集団ごとに集計・分析するのは義務?
ストレスチェック制度はメンタルヘルス不調の一次予防が目的だよね。だから、ストレスチェックの実施で労働者のメンタルヘルスへの気づきを与えるだけでなく、結果の集計・分析を行って職場環境の改善をしていくべきなんだ。
そのため、事業者の努力義務として集計・分析の結果によって対象となる労働者の心理的な負担を軽減するための措置をとるよう定められているんだ。

2.集計・分析の実施方法とは?
集団ごとの集計・分析結果は個人が特定できないため、労働者の同意なく提供することができる。ただし、集団の単位が10人以下の場合は個人が特定される恐れがあるため、労働者に個別に同意を得る必要があるんだよ。
集計・分析の具体的な実施方法は調査票の内容にもよるけど、職業性ストレス簡易調査票に関して公開されている「仕事のストレス判定図」に従って実施することが望ましい。独自の調査票を作成している場合は「仕事のストレス判定図」と合わせて従来の研究や実践事例を参考にしつつ適切な方法を定める必要があるんだ。
また、集計・分析において職場のストレス状況の経年変化を把握することも大切なこと。だから事業者は集計・分析結果を5年間保存することが望ましいんだよ。

職業性ストレス調査票には「仕事のストレス判定図」にない尺度も含まれているから、それらについても同様に集計して全国平均値と比較することでより詳細な分析を行うことができる。
また、独自に職場環境の調査・分析を行っていて、一定の科学的根拠を持っているのであれば、必ずしも法定のストレスチェック結果について集団ごとの集計・分析を実施する必要はない。ただし、法定のストレスチェックは必ず規則で定められた3領域に関する項目を含めた調査票で実施しなければならないんだよ。